売上アップを成功させる集客の基本と原理原則

飲食店集客の基本集客・売上アップ

飲食店だけでなく、集客は商売を行う上で一番重要な要素といっても過言ではない。集客できなければ売上は上がらないし、売上が上がらなければ利益が出ない。売上があれば投資ができるし、様々な施策に取り組むことも可能になる。ここでは集客の基本と原理原則について解説する。

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集客とは?

皆さんもご存知の通り、売上の方程式は
売上=客数×客単価
と言うのが全業種関わらず不変の公式だ。

しかし、この方程式はこのままでは使いにくいので、実際の商売で使用する場合は多くの場合施策レベルまで因数分解する。

看板で集客するのであれば
売上=店前通行量×入店率×客単価

WEBで集客するのであれば
売上=アクセス数×転換率×客単価

といった具合だ。

集客とはこの客数を伸ばすことで、さらに言えば因数分解した要素を伸ばすことを言う。

集客の基本となる原理原則

集客とは
世の中には実に多種多様な集客手段が存在する。その為、集客を強化しようと始めると、多くの方が初めから手段を探してしまう。

結論から言うと、手段から入ると上手くいかないことが多い。それは集客の基本となる原理原則を押さえていないからだ。

原理原則とは、集客に成功する時に必ず押さえられている共通点のことで、時代や環境に関わらず不変の部分のことだ。

集客の原理原則はたった一つしかない。

1.誰に
2.何を
3.いつ
4.どのように
5.いくらで

販売するのかを明確化することだ。
上から順に明確化する優先順位が高くなる。この5つの要素に矛盾が生じれば、集客は大抵上手くいかない。順番に解説する。

ターゲティングをはっきりさせる

ターゲティング
初めに誰に売るのか明確にする必要がある。この売る対象を決めることは一般的にターゲティングと言われている。ターゲティングが明確にならなければ、原理原則の残りの4つは決められない。ターゲティングを行うには、「お客様」を属性で分類していくことが一般的だ。これをセグメントという。
集客におけるセグメントは業種によって異なるが、飲食店の場合は絞りすぎてはいけない
理由はそもそもの母数が少なくなりすぎてしまうからだ。ただでさえお店から10分〜15分圏内がお客様のほとんどを占める飲食店が、それをさらに絞ることは如何に無謀なことか分かるだろう。

かといってセグメントしなければ漠然としすぎてお客様には刺さらない。広すぎず、狭すぎずバランスの取れたセグメントが重要になる。

飲食店では大きく以下のセグメントを行うことが一般的だ。
1.学生、若者
2.サラリーマン
3.女性
4.ファミリー
5.シニア

この5つのセグメントの中からターゲティングを決定する。

ターゲティングを行う際のポイントは
1.既存の客層か
2.既存と異なる客層か

を考慮する。
基本的には既存の客層に対してアプローチする方が簡単だ。現状のメニューの出数や常連客へのヒアリングでその客層の求めているものが把握しやすい。既存と異なる客層をターゲティングするのは、今ご来店いただいている客層への集客をやりきってからでも遅くは無い。

売る商品の属性が「ニーズ」か「ウォンツ」か見極める

集客のフック
ターゲティングが決まれば、次は「何を」売るのかを決定する。ただ単に「来てください」と集客を行っても、行く価値が伝わらなければ集客には繋がらない。その価値を作るためには集客のフックを作る必要がある。これは大きく2つの属性に分類できる。一つがニーズもう一つがウォンツだ。

ニーズとは、分かりやすく言うとあれば売れるという属性だ。例えば駅のホームにあるうどん屋さんなどが分かりやすい。「お腹は空いているが、がっつり食べる時間はない、早く出てきて早く食べられるものがあれば」という、もともと存在している動機にそれを解決する商品を置くことで成立している業態だ。別の言い方をすれば、お悩み解決とも言える。

一方ウォンツは、予期していなかったが、欲しいと思わせる属性のことだ。街を歩いていて、焼肉の匂いが漂って焼肉店に行きたくなった経験は無いだろうか。このように動機を生み出す属性をウォンツと言う。

なんとなく理解できると思う。

言うまでもなく集客で成功するためには後者の「ウォンツ」の属性を訴求する方が効果的である。
では、具体的にこの「ウォンツ」の属性を付与するための要素を解説したい。

ウォンツを生み出す要素は飲食店では大きく3つ存在する。

Ⅰ.新規性

人は新しいものが好きだ。オープニングやリニューアルが売上を大きく伸ばす要因になるのはこの要素が含まれているからである。ただし、突拍子もなく新しいものを打ち出しても効果は出にくい。新規性を作る際は、「お客様がイメージできる新規性」を意識すべきだ。全く想像もできないものは伝わりにくい。

Ⅱ.トレンド

「流行に乗る」ことも、ウォンツを生み出す一つの要素になり得る。理由は「認知はあるが、体験していない」という琴線に触れることが出来るからだ。流行になると言うことは、お客様に受け入れられていると言うことだ。SNSの普及で、第三者の評価と言うものは購買意向に大きく影響を与える。常に流行にアンテナを張ることを続けて欲しい。

Ⅲ.五感

飲食店において最も食欲を掻き立てる要素が「五感」である。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のいずれかに直接訴えかける要素を作れば良い。分かりやすい事例はオープンキッチンの実演をほぼ全ての業態に取り入れているトリドールホールディングスなどが参考になる。

得意な部分を伸ばす。苦手なことはあとで良い

得意なことを伸ばす
得意な部分を伸ばすのは時間がそこまでかからない。しかし、苦手なことを伸ばすのは時間がかかることだ。飲食店はライフサイクル(流行の移り変わり)が早い業種である。時間をかけて準備している間に出遅れてしまうことはよくあることだ。そうならない為には、今すぐ動ける得意な部分で戦う方が成功確率は格段に上がる。あなたがお店を選ぶとき、軒並み平均点の妥当な飲食店か、明らかに他店と異なる魅力のある店舗のどちらを選ぶかを考えて欲しい。

集客しやすい時期、時間帯に集客する

集客 タイミング
集客で上手くいかない店舗ほど、売上の低い時期や時間の対策を考える。そもそもお客様が動いていない時間にいくら頑張っても大きく成果を残すことは難しい。集客を行うベストなタイミングは一番売上が上がりやすい時期と時間から始めるべきだ。

ピークタイムにウェイティングがかかるくらい伸ばしきることに専念した方が良い。そうする事で、「あのお店はこの時間いつも混んでいる」という印象をお客様に与えることができる。そうなると、空いている時間にお客様が自ら時間をずらしてくれるようになる。時期に関しても同様だ。そして、忙しい時期や時間が増えるほど、アイドルタイムに流れてくださるお客様の数も増加する。苦手な時間から入ってはいけない。得意な時間から始めるべきだ。

手段と目的を一緒にしてはいけない

集客の目的は言うまでもなく売上アップだ。あくまで手段を成功させる事が目的ではない。失敗する多くのケースが手段と目的がごちゃ混ぜになっている。例えば150件の反響を目標にチラシを実施したとしよう。10,000部巻いて反響が1%あった。この場合、反響の件数は100件だ。

残り50件足りない中で、0.5%反響を上げれば目標を達成できる。

あなたはどうしますか?
選択肢はいくつかあるが、以下のような答えが多いのでは無いだろうか。
・デザインを変更してもう一度実施
・配布エリアを変えてもう一度実施
・訴求するポイントを変えてもう一度実施
・別の媒体で同じ内容を訴求

これらは間違えでは無いし、実施する価値のある事だ。結果はノウハウとして蓄積されるし、次に繋がる内容だと思う。しかし、売上を上げるという目的と販促を当てるという手段がごちゃ混ぜになってしまっている。

売上アップを合理的に考えるなら、反響のあった100件のお客様の半分にリピートしてもらえるように対策を練るべきだ。全くあなたのお店を知らない方にアプローチするより、一度来店して知っていただいている方に来ていただく方が簡単だ。

何が言いたいかというと、方法論に囚われず、客観的に見て成功確率が高い選択肢を選んで欲しいという事である。世の中にはチラシが良い、FAXDMが良い、グルメサイトが良いなど様々な情報が存在しているが、あくまで一つの手段であって目的では無いということを肝に命じて欲しい。

価格設定は思い切って振り切った方が良い

集客、つまり客数を伸ばすという考えのもとでは、価格は下げられるだけ下げた方が良い。回収出来る算段が無いまま下げるのは選択として間違っているが中途半端な値付けをするよりはマシだ。

理由はお客様に刺さるかどうかは価格分の価値にあるからだ。価値の基準はお客様毎に異なるし、モノ余りの時代の中で、来店する前にそれを高める事は難しい。

しかし、価格の基準は全員同じだ。
まず客数を確保することを最優先に考えて欲しい。

間違えてはいけないのは、価値を上げる事を諦めるという意味ではないという事だ。価値を伝えるのは、お客様が来てからでも出来る。しかし、来店しなければ伝えることも出来ない。

こと飲食店に関しては、お店での体験無しに価値という概念はそもそも生まれない
下げ切った方が良い理由は、大きく3つだ。

Ⅰ.客数さえあれば後でいくらでも調整が出来る。

客数が増えて、取引量が増えれば仕入れ値の交渉の余地が生まれたり、粗利の高い商品も注文していただけるようにオーダーコントロールするなどいくらでもやりようはある。

Ⅱ.販促費の削減に繋がる

カルビの定価を680円で販売している焼肉屋を例に解説したい。
それぞれ販促費5万円で

580円で販売したところ、100人の集客
480円で販売したところ、120人の集客
380円で販売したところ、150人の集客
280円で集客したところ、160人の集客

このような結果になったとしよう。

初めから280円で集客していれば5万円のコストで済む。逆からいけば、20万円のコストがかかる。

Ⅲ.価格弾力性を最速で把握出来る

価格の弾力性とは価格の変化率に対しての需要の変化率の事だ。
先ほどの例で考えると
580円から480円 +20%
480円から380円 +30%
380円から280円 +10%
このように価格の変化で需要が大きく変化するポイントが飲食店の場合発生するケースが多い。「食」という生きる上で切り離せないものという本質が、こうした現象を引き起こす。少しずつ値段を下げて行くと、このポイントに到達するまで時間がかかる。また、お客様も値下げに慣れるのでその数字がはっきり出にくくなる。

一度価格の弾力性が分かれば、今後の値付けも適正価格を設定しやすくなるので、成果を出す速度が上がる

以上が、集客の基本と原理原則だ。
内容には賛否両論があるかも知れないが、少しでも参考になれば幸いだ。